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『学び方を学ぶ ~学び方が上手な東大の工学部生~』

認知心理学的にみた「学び」の目標

 

2011年2月8日(火) 

私の教室では小学3年生から中学1年生までが数学を中心に

様々なことを学んでいます。

今日はいつものように教室の話ではなく、家庭教育をする上で

役に立ちそうな(少なくとも我が家では役に立っていますよ♪)認知心理学

というものをご紹介してみたいと思います。

皆さんは

「学ぶとはどういうことですか?」

と聞かれたら、どのように答えるでしょうか。

認知心理学という分野では「学ぶとはどういうことなのか」

定義しています。

私は大学で認知心理学が専攻だったのですが、「これをもっと

具体的な学びに役立てられないものかなぁ」と考えていました。

この認知心理学とは一体どんなものかというと、「知識の理解、

生成、発達を取り扱う科学(注1)」という説明があります。

これって、子どもたちや、自分の学びにも関係しているので、

親としても気になりますよね。 

認知心理学では、学ぶということはスキーマの獲得なんだ」って言って

いるのですが、これでは

「なんのこっちゃ?」です。

東大でお世話になっている三宅なほみ先生の、分かりやすい説明を

お借りすると「”使える知識”を身につけること(注2)」となります。

となると、次には「スキーマ(使える知識)って何?」ってことになる

わけですが、これは、ただの情報の暗記ではなく、自分自身で持つ

関数のようなイメージでしょうか。

その関数に、状況に応じて変数を入れ、自分で使いこなすのだと

想像してみて下さい。

関数の結果を丸暗記するよりも、暗記の量も少なく、応用できそうだなと

感じてもらえると嬉しいのですが・・・

 

もっと身近な、小学校算数を例に「スキーマの獲得」を紹介してみます。

小学校の算数で、子どもたちが学ぶ「10のまとまり(10進数)」ですが、

多くの子どもたちは「10をひとまとまりで考える」ことを学ぶので、

2年生にもなれば、「10集まると位が上がる」ということを知っています。

これは、いわば「10進数のスキーマ」なので、このスキーマを身につければ、

例え数が10以上になっても、100以上になっても、もっともっと大きく

なっても、子どもたちは同じルールで数を表し、計算だってすることが

できますよね。

でも、もしもさらにもっと大枠の「○進数のスキーマ」を身につけることが

できれば、10のまとまりだけにこだわらずに、60のまとまりでも、数を表し

たり計算することができます。

「まとまりは”10”であろうと”60”であろうと、ルールは同じ」というわけです。

こうなれば、60進数の時間の計算だって、同じように考えて解けるように

なりますよね。

また、2のまとまりで考えれば、コンピューターなどでも使われている、

オンとオフの2進数の計算もできます。

つまり、「○進数のスキーマの獲得」ができれば、学校でいつもやっている

筆算も、時間の計算も、また、ミリやキロへの単位の変換だって、全て

同じルールで考えることができるようになるというわけです。

これって便利ではないですか?

残念ながら、学校では「スキーマの獲得」という観点では教えてもらえ

ないので、気が利いた子どもだけが偶然にもスキーマを獲得している

という状況なのだと思います。

 

さて、ここで東大工学部生のお話をしてみたいと思います。

私は教室運営のほかにも、NPO法人センス・オブ・ワンダー

代表として科学教育についての研究や、科学リテラシー普及の

ためのに、サイエンスカフェやワークショップの企画をしています。

その関係で、東京大学工学部のゼミと一緒に活動をすることも

多く、その合間をぬって?学びが上手なはずの東大工学部生たち

をつかまえては、

「それはどうやって学んだの?」

「お父さん、お母さんはどのように関わったの?」

「学校では?」

なんてインタビューをしてみます。

色々と聞かれることにも、みんな、もう慣れちゃったみたい

ですけどね。

詳しくは別の記事でご紹介するとして、一つ彼らに共通して言えることは

彼らはスキーマの獲得の達人であるということです。

例えば、高校での化学の勉強にしても

「分子間の結合力を知ることで、化学反応について丸暗記しなくても

済んだ」

とか

「世界史を学ぶ時に、そのことが起こった地理的な要因と合わせて

知ることで、世界史も地理も丸暗記にならなかった」

と話してくれます。

そして多くの工学部生は

「自分は丸暗記は苦手」

だと言います。

 

どうでしょう?

学びの目標を「スキーマの獲得」にすると、丸暗記の量は減って

応用力が上がることは、なんとなく伝わったでしょうか?

 

例えば問題集を選ぶ時にも、子どもに問題を解かせる時にも

「今は何のスキーマを身につけようとしているのか?」を意識

するだけで、問題集の選び方も声のかけ方も変わってきます。

教室の中学生には、「今は何のスキーマを身につけようとして

いるのか?」を自分自身で意識できるように声をかけています。

 

認知心理学に興味を持った方は是非色々と調べてみて下さいね。

(注1)は岡林春雄先生「認知心理学入門」を参考にさせて

頂きました。

認知心理学入門―その基礎理論と応用 Book 認知心理学入門―その基礎理論と応用

著者:岡林 春雄
販売元:金子書房
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 

 

また、認知心理学の考え方を、教育を研究する立場から分かりやすく

ご紹介して下さっている三宅なほみ先生の記事も大変参考になります。

(注2)もこちらの記事を参考にさせて頂きました。

大学発教育支援コンソーシアム推進機構(CoREF)>学習科学

http://coref.u-tokyo.ac.jp/archives/5674

 

最後におまけです。

この数週間はセンス・オブ・ワンダーで、東大工学部のゼミ生と一緒に

LEDを使うワークショップの研究開発をしています。

こんな感じです↓

 

< 3色を混ぜる実験方法の研究 > 

下から照らしてもあまり混ざりません・・・

110204350

「ちょっと、みんな上から照らして~!」

ってことで、上から光を集めてみます。

(手がいっぱい!)

110204350_3

 

う~ん、もう一息です。

この講座は「英語の科学工作講座」としてセンス・オブ・ワンダー

全て英語で行う予定です!

 

 

こちらのブログは小学館の子育て情報サイト

ウェブeduでご紹介頂いております。

 

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